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トリノ王立歌劇場 日本公演 《仮面舞踏会》ゲネプロレポート

3年ぶりの来日となる「トリノ王立歌劇場」が、ヴェルディ作曲のオペラ「仮面舞踏会」の公演を行う。

≪トリノ王立歌劇場 2013年日本公演≫
  《仮面舞踏会》
第三幕より: オスカル:市原愛(中央) ,トリノ王立歌劇場合唱団 

会場:東京文化会館
  ○12月1日(日) 15:00
  ○12月4日(水) 18:30
  ○12月7日(土) 15:00
 指揮:ジャナンドレア・ノセダ
 管弦楽・合唱:トリノ王立歌劇場管弦楽団&合唱団
 演出:ロレンツォ・マリアーニ
 出演:オクサナ・ディカ(アメーリア)
     ラモン・ヴァルガス(リッカルド)
     ガブリエーレ・ヴィヴィアーニ(レナート)
     マリアンネ・コルネッティ(ウルリカ)
     市原 愛(オスカル)
     公演詳細

トリノの歌劇場が設立されたのは1740年というから、ミラノのスカラ座より、更に古い歴史を誇る。名門中の名門歌劇場である。プッチーニの「マノン・レスコー」「ラ・ボエーム」も、この劇場で初演されている。その伝統の歌劇場は、2007年にノセダを音楽監督に迎え、「最高水準の歌劇場に急成長した」とも言われる。今回の日本公演のオペラ演目は、プッチーニの「トスカ」とヴェルディの「仮面舞踏会」の2作品。オペラビューでは、「仮面舞踏会」のゲネプロでの様子を、簡単な筋とともにご紹介したい。

第一幕第一場より: レナート(ヴィヴィアーニ),リッカルド(ヴァルガス)

秘書レナートは「この宮廷にも謀反を企んでいる者が潜んでいる」と、
総督リッカルドに注意を促す。
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一幕一場より: レナート(ヴィヴィアーニ),リッカルド(ヴァルガス),オスカル(市原愛)
女占い師ウルリカの追放を申し出る判事をオスカルが弁護すると、興味惹かれたリッカルドは

「変装して訪ねてみよう」と、一同を誘う。
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一幕二場より: リッカルド(ヴァルガス),ウルリカ(コルネッティ),アメーリア(ディカ) 


リッカルドへの愛の苦悩を断ち切るため、人目を忍んでやって来たアメーリア。
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二幕: リッカルド(ヴァルガス),アメーリア(ディカ)
アメーリアを追って来たリッカルド。二人は、互いの愛を確かめ合う結果に。
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アメーリア(ディカ),リッカルド(ヴァルガス)

レナート(ヴィヴィアーニ)

レナートが突然現れ、反逆者たちが狙っているので逃げるようにと告げる。
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第三幕第一場:レナート(ヴィヴィアーニ),アメーリア(ディカ)

 レナートは妻の不貞を責め、リッカルドへの復習を決意する。
そこへ訪ねて来たサムとトムに、暗殺一味に加わりたいと申し出る。
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第三幕第三場: アメーリア(ディカ),レナート(ヴィヴィアーニ),リッカルド(ヴァルガス)

アメーリアに別れを告げるリッカルド。背後にはレナートが迫る。

アメーリア(ディカ),レナート(ヴィヴィアーニ),リッカルド(ヴァルガス),オスカル(市原愛)

「全ての者を無罪に」 臨終のリッカルド。

赤をアクセントカラーに用いた、スタイリッシュな舞台。装置としては、巨大な扉・額・シャンデリアなどが配置される。まるで、大きな運命の力に翻弄される、人間の卑小さを表しているかのようである。照明は全体に暗めであるが、それによって、三幕の仮面舞踏会への転換が却って鮮やかに際立ち、実に見事である。キャストも選び抜かれて人を得た。まず、リッカルドのヴァルガス。柔らかに響く透き通った繊細な美声に魅了される。アメーリアのディカは、声に切れがあり、多彩な表現が可能なソプラノと聴いた。レナートのヴィヴィアー二は、感情表現が誠に巧みで素晴らしい。ウルリカのコルネッティは、メゾならではの重厚な存在感を充分に響かせた。また、今回の唯一の日本人キャストである、オスカルの市原愛は、コミカルな役どころをチャーミングに演じ、彼女の声の特徴を充分に生かした。更に本公演では、ノセダの棒のもと、それぞれの音楽が細かくぶつかり合い、完成度の高いものとなるであろう。躍進目覚ましい「ノセダのトリノ」への期待は大きい。
取材・写真:長澤直子

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