東京上野の文化会館で、二期会がヴェルディ後期の傑作「オテロ」を上演した。二期会としての公演では、35年ぶりの新制作上演。
サラセンを打ち破ったオテロが、嵐の吹き荒れる中、キプロス島に凱旋する。イタリアオペラ史上、最も激烈な冒頭のシーンとしても挙げられる。
オテロ:福井敬/デズデモナ:大山亜紀子
オテロ:福井敬/デズデモナ:大山亜紀子
演出に白井晃(演出家・俳優)を起用し、オテロの心情を陰影を多用して描き出した人間ドラマとして仕上げた印象。
オテロ:福井敬/イヤーゴ:大島幾雄 デズデモナ:大山亜紀子
抽象化された舞台装置の他は、布と天井から吊るされた紗幕のような仕切りと柱。照明で、上半身部分をすっぽりと覆うなど、陰影がオテロの心情を鋭く描き出す。
オテロ:成田勝美/イヤーゴ:大沼徹
第三幕の大コンチェルタート部分では、各々がいちどきに心中を吐露する。ベルカントオペラの様式を踏襲するこのオペラ最大の見せ場。
ロデリーゴ:与儀巧/イヤーゴ:大沼徹/デズデモナ:日比野幸/ロドヴィーコ:三戸大久/エミーリア:加賀ひとみ/カッシオ:岡田尚之/オテロ:成田勝美
4幕のデズデモナの寝室は囲いで、まるで牢獄のようなさま。グレーであった壁が、潔白を証明するごとく次第に剥げ落ちて行く。背後には、不吉に落ちる十字架の影。
デズデモナ:日比野幸
ロベルト・リッツィ・ブリニョーニの指揮による東京都交響楽団が重厚かつ説得力のあるサウンドを放ち、物語と感情とを、ダイナミックでありながら繊細に聴かせた。
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東京二期会オペラ劇場「オテロ」
オペラ 全4幕
字幕付原語(イタリア語)上演
台本:アリゴ・ボーイト(原作:ウィリアム・シェークスピア「オセロー」)
作曲:ジュゼッペ・ヴェルディ
東京文化会館 大ホール(JR上野駅公園口前)
2010年2月
17日(水)18:30
18日(木)18:30
20日(土)14:00
21日(日)14:00
開場は開演の60分前/上演予定時間:約2時間45分
指揮:ロベルト・リッツィ=ブリニョーリ
演出:白井 晃
【スタッフ】
装置:松井るみ
衣裳:前田文子
照明:齋藤茂男
合唱指揮:佐藤宏
舞台監督:八木清一
公演監督:近藤政伸
【キャスト】
オテロ:福井敬/成田勝美
デズデモナ:大山亜紀子/日比野幸
イアーゴ:大島幾雄/大沼徹
エミーリア:金子美香/加賀ひとみ
カッシオ:小原啓楼/岡田尚之
ロデリーゴ:松村英行/与儀巧
ロドヴィーコ:小鉄和広/三戸大久
モンターノ:村林徹也/鹿又透
伝令:須山智文/倉本晋児
合唱:二期会合唱団
管弦楽:東京都交響楽団
主催:財団法人東京二期会、社団法人日本演奏連盟